※さすがに影響力の大きさを考えて、保釈(≠釈放)という形にして即収容施設に入れるということはなかったものの、被告人であることにかわりはありません。
 パスポートも押収されて香港外への渡航も禁じられているため、AI監視システムや警察の厳しい監視下に置かれ続けることは間違いなく、ほとぼりが冷めたころに判決、量刑が言い渡され、中国本土での収監となる可能性も捨てきれません。

 今後も中共政府の不当な弾圧に対して世界中が声をあげ続け、周氏や黎氏が、魂の抜け殻のようになった“墨汁少女”や手を「根の彫刻」のように変形させられた張氏(ジャーナリスト)のようなことにならないよう、今後の動向を注視していく必要があります。  ***

 ◇香港、民主活動家の周庭氏を保釈 香港紙創業者も

【香港=木原雄士】香港警察は11日夜、10日に香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕した民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏を保釈した。

 12日午前0時すぎには香港紙創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏も保釈した。両氏は外国勢力と結託して国家安全に危害を加えた疑いをもたれていた。

 周氏は保釈後、記者団に「なぜ逮捕されたか分からない。これまでで最も怖かった」などと語った。当局にパスポートを押収されたことも明らかにした。警察は周氏が7月以降にSNS(交流サイト)を使って外国勢力と結託していたとみている。

 すでに2019年の違法なデモに参加した罪で有罪判決を受けており、12月にも量刑が言い渡される見通し。当面は香港外への渡航が制限される。

 周氏は14年の大規模デモ「雨傘運動」に参加して「学民の女神」と呼ばれた。日本語が流ちょうでたびたび日本を訪れ、香港の民主化を訴えていた。周氏の逮捕を受けて日本でも早期の保釈を求める声が出ていた。

黎智英

 黎氏が創業した蘋果日報(アップル・デイリー)は中国共産党に批判的なメディアとして知られている。10日には警察が200人態勢で同紙を発行する壱伝媒(ネクスト・デジタル)本社を捜索し、「報道の自由」への懸念が高まっていた。

 黎氏が保釈された警察署の回りには支持者が集まり「弾圧を恐れない」と書かれた11日付の同紙紙面を掲げた。香港紙・東方日報(電子版)は黎氏の保釈金が50万香港ドル(約690万円)だと報じた。
日本経済新聞 2020/8/12 

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