※「気候変動問題はセクシーに」発言以来、すっかり底の浅さが露呈してしまった某大臣が“ポスト安倍”から脱落、その後「帯に短し襷に長し」と評される候補者の名前が次々に浮上しましたが、ここにきて河野太郎氏が女系天皇容認論と尖閣発言で自爆、結局は岸田文雄氏と石破茂氏の戦いということに落ち着きそうな気配です。

 岸田氏は前回の総裁選ではあえて一歩引き(禅譲密約の噂は一応否定)、地道に外交面での実績を積み重ねてきたのに加えて、今回、「皇統の男系男子維持」と改憲への強い意志を示して改めて存在感をアピール、党内でのパワーバランスはさておき、タイミング的に国民も「あの石破氏よりは……」と受け入れやすい状態になりつつある印象です。

 石破氏がしきりに二階俊博幹事長にすり寄り、二階氏と菅官房長官が急接近するなど不穏な動きもありますが、二階・菅氏の連携の裏に中国ありという構図がはっきりしている以上、その二人が推す石破氏だけは国民も絶対に受け入れない、それだけははっきりしています。

 石破氏によって全キャリアを奪われた元航空幕僚長の言葉、「石破氏だけは総理にしてはいけない」は私怨でも何でもなく、防衛問題だけでなくあらゆる意味において日本にとって危険な政治家であるという警鐘です。 *

岸田文雄 安倍晋三

 ◇「9条への自衛隊明記など党改憲4項目の実現で改憲論争に終止符打つ」

 次の首相を目指す自民党の岸田文雄政調会長が、安倍晋三首相の保守路線の継承に動き出した。憲法改正を目指す考えを打ち出し、皇位継承に関しても父方が天皇の血を引く男系継承を尊重する意向を示す。国の骨格となる重要テーマで立ち位置を明確にし、他のライバルとの違いを際立たせる狙いもありそうだ。

 「憲法は国の基本を定める。時代の変化とともに検証していくことは大事だ」
 岸田氏は25日の東京都内での講演で「岸田政権」樹立の際は改憲議論を推進していくことを明言した。

 自民党の改憲4項目に、首相の座を争う石破茂元幹事長は否定的な考えだが、岸田氏は「大変重要な課題だ」と強調。安倍首相が最も重視する憲法9条への自衛隊明記に関しては、「自衛隊の違憲論争に終止符を打つ」と語った。

 皇位継承に関しては、24日の記者会見で「男系天皇を維持してきた歴史の重みを強く感じている」と強調。
「ポスト安倍」候補のライバルで、条件付きで女系天皇容認に言及した河野太郎防衛相との違いをアピールした。

 首相は平成24年の第2次政権発足以降、一貫して改憲を主張。皇位についても国会答弁で「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みを踏まえる」と訴えてきた。岸田氏の一連の発信は基本的に首相の方針を引き継ぐことを示す。

 総裁選で首相や、出身派閥の細田派(清和政策研究会)の協力を得たい考えも透けるが、岸田氏を支える岸田派(宏池会)はリベラルの印象が強く、9条改憲に慎重意見も根強い。名誉会長の古賀誠元幹事長は「針の先ほども変えるのはだめだ」と周囲に語ってきた。

 中堅議員は「リベラルの岸田氏が改憲を訴えることで、国民も受け入れやすくなるはずだ」と期待するが、派内で理解が得られるかが注目される。(永原慎吾)
産経新聞 2020.8.25

「祖宗の皇統とは、一系の正当を承くる皇胤(男系子孫を指す言葉)を謂ふ」
「皇室は、直系・傍系にこだわらず、“数代単位の支系”をパッチワーク的に織りなしてきたからこそ“万世一系”が連綿と続いてきたのである。日本の皇統は“支系の統合(積分)”である」(中川八洋『皇統断絶』)

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